地獄の輪
切っても切れぬ
恨みの輪
真綿の様なその輪の紐は
やがては首の周りを囲み
終わりを告げて
すべてをやみに
するする・・・するする・・・
這う音がする。
遠く向こうの闇の中。
その音を聞いた夕菜は戦慄した。
遥か先、本の些細な、その物音は
理性とは、何か物のものに恐怖を植えつける
そう・・・いうなれば本能。
動物の本能が身の危険を知らせてくる。
お前は、危ない・・・・。
得体の知れぬものを見て
およそ九晩
何とも知れぬそれの這う音は
日ごとに近付く。
近付いて、いつか姿が見える様にもなるだろう。
その時、どうなるのだろう。
富んでいた家も荒れ果てて、
細々とした職にすがったとしても長くはもたず
名家溝口家も落ちていった。
あれも、その所為ともいうものもいた。
あれは近付いてくる。
もう、薄く影が見える。
長く長く、
どこまでも大きい。
私なんかよりも遥かに。
今思えば、遥かなる闇も
これだったのではないだろうか・・・。
もう、僅かな時間も無い。
もう、あれが来る。
来る。
来る。
来る。
あぁ、何で私がこんな目に。
{首締